あーあ、しばらく呑みにも連れて行ってもらえない。とかふざけた事を言っていたが、俺は聞こえないふりをした。


それから少しいつも通り、他愛もない話をした。


大半が香坂と池田の惚気だったけど。


こいつらがこんな風に誰かと真剣に向き合っている姿は嫌いじゃないどころか、むしろ好きだ。


兄貴的存在として過ごしてきた分、嬉しかったりもする。




それに比べて俺は……

こんな時に傍に居てくれる彼女もいない。


俺だって全くモテないわけではない。


けれど、彼女が出来ても長続きしないのだ。


アプローチされて付き合うけれど、結局は俺が振られる。それの繰り返し。


毎回同じ言葉で振られるから、原因も頭では分かっていた。けれど、何がダメなのか分からないから、去る者追わずの精神できたら、今の状況に至るってわけ。


彼女という存在が居ない事の虚しさを、こういう弱っている時に痛感する。