【完】白衣とお菓子といたずらと

「実は……お姉さんとメールでやり取りしてるんですよ」


「………」


何となく予想はしていたけど、やっぱりそうだったのか。


「礼央さんの病室でお会いした日に、廊下で呼び止められたんですよ。その時、少し……色々とお話させてもらって、アドレスも交換したんですよ」


“少し”を“時々”と言いなおした事が、引っかかった。


俺が思っている以上にやり取りをしている事が伺われる。何を話しているんだろうか。


というか、姉は何を握っているのか。俺を動かすためのネタを。


「ごめん、聞いていい?何の話をしたの?」


「……んー、言いにくいんですけど、もう言っていいかな」


「聞かせて」


少し悩んだようだったけど、話してくれる気になったらしい。


知っていたほうが今後の姉ちゃんの行動を抑えるのに役立つはずだ。


「最初の日、本当に彼女じゃないのかって、改めて聞かれたんですよ。だから、私はそうなったらいいと思っていますって答えたら、喜んで下さって。そして、協力するからってアドレスを交換したんですよ」


……ちょっと待ってよ、

「姉ちゃんにそんなこと言っちゃったの。あの人絶対に面白がってるよそれ」


「それでもいいですよ。今日も協力してくれました」


「……今日もって?」


「礼央さんが好きな料理とか教えてくださって、その中で私に作れるものはあるかって確認してくれたんですよ。自分で用意しますって言ったんですけど断られて、私が伝えたものを用意してくださったんですよ」


俺が知らない間に、裏ではそんなやり取りがあっていたなんて。どんだけ俺は鈍感だったんだ。