【完】白衣とお菓子といたずらと

「何か手伝うことある?」


暇を持て余した俺は、美沙に声をかけた。


「んー、ひと段落したので、もう大丈夫ですよ」


彼女は後ろを振り向きながら答えた。少し、困ったように笑いながら。


「あっ、じゃあ食器出してもらっていいですか?私じゃ場所が分からないので」


優しいな。俺が何かすることを探しているんだと分かったんだろう。


きっと、俺でも出来そうな事をみつけてくれた。彼女はこうやって細やかに周りを見て、相手の考えていることを敏感に察知するんだよな。普段の仕事している様子を見ながらもそれは感じていた。


後輩らしきスタッフに、こっそりと指示を出しているところも何度か見かけた。


「了解。適当に出しておくね」


「ありがとうございます。後は用意するので待っていてもらっていいですか?」


「ごめんね、手伝えなくて」


「いいですよ。こういう時は頼ってもらえると嬉しいです。怪我が治ったら、手伝ってもらいますから」


美沙はニコニコと答えてくれた。


ついでに、俺に申し訳なさを感じさせないための言葉もくれて。次もあるんだと期待させてくれる言葉も嬉しい。


彼女の優しさにほっこりとした気持ちをもらった。