【成南第一高校】入学式。

校長先生の話を聞いている。
しかし…長い…

隣で座ってる志麻は腕組みながら爆睡。紀紗ちゃんは?と思って離れた席にいる彼女を見ると、口がモゴモゴしている。

学校行くまでに袋菓子3袋たいらげたのにまだなんか食べてるんかい…


話終わらないし、少し寝ちゃおうかな、と思っていたところ、後ろで女の子が小声で会話しているのが耳に入った。


『知ってる?ここの有名な先輩の話』

『あぁ、この地域を占めてるってゆうめっちゃ強い不良でしょ?怖いなぁー』

『そ。【春夏秋冬】ってグループなんだけど、実はそのリーダー格の人、チョー美形らしいよ。一緒にいる人達もカッコイイって聞いた』

『うっそ、マジで?うわ、見に行こうかな?その人何年?』

『ほとんど2年だけど、1人同じ学年だって』

『ヤバッ、同じクラスだったらいいなぁ〜』



…一つ聞きたい。


その情報はどこで仕入れてきたんですか…?



この【成南第一高校】は学力が普通より下のランクの学校だ。不良も多い。
私と紀紗ちゃんと特に志麻の学力、かつ通学を考えてこの学校にした。紀紗ちゃんは頭が良かったから先生にも両親にも反対されたが、

「私がここ通って学力落ちると本当に思ってんの?私だったらどの高校でも上位の大学行けるわ。私の頭の良さなめんじゃないわよ…‼︎」

と珍しく饒舌に言ったこの一言で黙らせてしまった。まぁ、初めてやる授業内容も2日かければほぼ全て理解していたし、いつもテスト一日前に教科書見ただけで90台とってたから何も言えないよねー…
一方志麻は、運動はいいんだけど頭が私よりちょっと…ね……だったから、ここしかなかった。

覚悟してきたけれど…

まさか、占めている不良さんが一個上にいるとは…

でも、1人じゃないし、大丈夫…多分、きっと、おそらく……だといいな…




入学式が終わってクラス表を見てみると、奇跡的に3人一緒だった。良かった…