嗤うケダモノ


「黙って。大丈夫だから。」


耳元で囁かれた低い声は…

‥‥‥ドラ●もん?

え? なんで?

逃げたンじゃないの?
どーやって戻ってきたの?

まさかのドコでも●ア???

さっきは逆光で、今は暗闇で、ハッキリわからないドラ●もんの顔の辺りを私は見上げた。


「もう叫ばないでね?
ココね、従業員用喫煙所のドアが壊れてンの。
ソコから出るよ。」


コクコク頷くと、口が解放される。

私はドラ●もんに手を引かれ、彼を追って走り出した。


「…あ…アイツら、追っかけて来ないカナ…」


「だいじょぶ、だいじょぶ。
この病院、増改築繰り返しててさ、中は迷路状態なの。
迷ってなきゃいーケドねー。」


「…なんでそんなコト…」


「俺、心霊スポット探検に来たンだもん。
内部構造の事前調査は基本でショ?」




本気の探検家デスカ。

小声で会話を交わしながら実にアッサリ建物を出て。
ソコに停めてあったドラ●もんの自転車に跨がって。

私は危険地帯を脱出した。