「ほんとにユカたちは大丈夫なンですか?!」


「だいじょぶ、だいじょぶ。
てか、仮に霊に憑かれちゃっても、気にしなければ問題ナイの。
生きてるコトってそれだけで強いチカラだから、放っとけば霊のほうが逃げちゃうンだよ。
‥‥‥普通なら、ね。」


安心を促す、優しい響き。
だけど最後に一振り、刺激的なスパイス。

言葉の罠に翻弄された日向は、本来ならば拒否して然るべき補食動物の接近を易々と許し、あまつさえ縋るように見つめてしまった。


「普通じゃない場合って…?」


頬を掠めて肩に回る、骨ばった男らしい手。


「生命のチカラを上回るヤバいヤツも、ごく稀にいるの。
そんなのが出てきたら、俺なんかじゃ太刀打ちできない。
杏子さんでも、ケガして帰ったりするしね。」


「そんな…
ほんとにほんとに、ユカたちは…」


震える身体がフワリと持ち上がり、柔らかく包まれる。


「ほんとにほんとに、彼らは大丈夫。
俺とヒナが無事にココにいるのが、その証拠。」


由仁が穏やかに微笑みながら日向を見下ろすと、彼女もやっと目元を和ませた。

って、おや?
ナニ?その体勢。