満足そうに頷いた日向は、やっと瑠璃子の襟元から手を離した。
言うコト言ったし。
謝罪も聞けたし。
もうスッキリ。
晴れやかな気分で周囲を見回した日向は…
笑顔を浮かべたまま、ギシっと音を立ててフリーズした。
崩れ落ちた瑠璃子は、青い顔で正座している。
その隣に蹲っていた孝司郎まで、いつの間にか正座している。
清司郎は狭い階段でなんとか正座しようと、半泣きで四苦八苦している。
杏子は口元を手で覆って目を見開いていて、そして由仁は…
由仁は…
だぁぁぁぁぁ!
コワくて見れねぇぇぇぇぇ!!
(ヤっちまった─────!!)
日向の全身の毛穴から、一気に変な汗が噴き出した。
ヤっちゃった。
ヤっちゃったよ、コレ。
荒武者どころの騒ぎじゃねーよ。
昔の悪癖全開だよ。
完全に頭のイタいコだよ───!!
日向は、由仁の前で自分を偽ったことはナイ。
全てを晒け出して、それでも傍にいられるコトに、意味があると思うから。
でもさー…
サっっスガにこりゃねーだろ?!
顎を突き出して、片頬を意識的に引きつらせて、見下しギョロ目&ドス声で悪態吐くとか、どー考えても一発アウトだろ─────??!!



