瑠璃子の知っている日向は、いつも由仁の隣で大人しくしている清楚で物静かな少女だった。

なのに、なんなの?
この豹変っぷりは。

驚異の変貌に瑠璃子が青ざめる。

チョーパン食らった額だけは、赤いワケだが。

けれど日向は、そんなコトは気にしない。
もう片方の手も瑠璃子の襟に伸ばし、首を絞める勢いで掴みかかる。

どんなにコワい顔をしようとも、彼女の額も赤いワケだが。


「テメェ、アレか?
先輩がイモ引いたと思ってンのか?
苦しんでねェとでも思ってンのか?あぁ?

違ェよ。
自分の我ァ通すよりも大事なコトのために、涙飲んで手打ちにしよーとしてンじゃねーかよ。
千鶴子さんだって、そーだったンじゃねーのかよ。

んなコトもわかんねーで、シャシャてンじゃねーゾ、コラ。」


「い…イモ?」


「その辺よーく考えて、それでも落とし前つけてェなら、自分の手ェ汚せ。
黒幕気取りで他力本願なんてハンパな真似してねーで、殴った拳も痛むコトを知りやがれ。」


「ぁわわわ…」


「とりあえず詫び入れろ、な?
先輩に、千鶴子さんに、全世界に詫び入れとけや、なぁぁぁ???」


「は… ハイィ…
ゴゴゴメンナサイィィ…」


「よぉし!」