愛しただけ。
愛しただけ、ねェ…
綺麗な顔を顰めて清司郎を一瞥した由仁が、溜め息を吐きながら頭をガリガリ掻く。
「そー言っときゃ、なんでも許されると思ってンのー?」
「なっ?!」
「なんの力もないガキが『結婚』『結婚』騒いで、周りを追いつめて。
責任なんて取れないクセに、種付けまでして好きな人を追いつめて。
で?その人がいなくなっても捜しもせずに、俺カワイソーって、ピーピー泣くだけ?
そんなん、男のするこっちゃねーだろが。」
「…」
「奪われたら奪い返せ。
逃げられたら追いかけろ。
食らいついたら二度と放すな。
その覚悟もなく愛を語んな。
イイ加減、大人になれ。」
((((そりゃあ、大人の愛じゃねェ。))))
ケダモノの…
つまりは、オメェ的な愛じゃねーか、コラ。
日向も杏子も瑠璃子も、そして孝司郎までもが心の中でツッコんだ。
けれど清司郎だけは、目を見開いてから神妙な顔つきになり…
「…
そうか…
僕が… コドモだったから…」
なんか納得しちゃった?!
イイの?! こんなんでイイの?!



