だがソレは、さっきも披露していた自己弁護満載の言い訳。

心に響くわけがない。


「お父さんが悪いンだ!
お父さんが、僕から千鶴子を奪ったンだー!!」


駄々っコのように叫んで孝司郎の言葉を遮った清司郎は、短い階段を一気に駆け下りた。

血走った目。
振り上げられる刈込鋏。

そして、迫り来る鋏の尖った先端から身を守ることも出来ずに、蹲ったままの孝司郎…



ハイ。

メンドクサーイとか、言ってられない事態デスヨネー。


「熱っ?!」


柄を握りしめる手に、突然陽炎のように揺らめく白い炎が灯り、驚いた清司郎は刈込鋏を落とした。

瞬く間に鎮火したため火傷は負っていないものの、少し赤くなった手の甲を見て、床に落ちた鋏を見て、辺りを見回して…


「っ??!!」


鋭く息を飲む。

今は亡き愛しい人の面影を漂わせた…
けれど今は亡き愛しい人とは似ても似つかない黄金色の瞳が、険しく彼を睨んでいたから。

そう。
清司郎に向けて炎を放ったのは、由仁。

日向の腰に回した手をほどいた由仁は、眉を顰めたままツカツカと清司郎に歩み寄った。