「…
あのオッサンっスかネ。」


「だろーネ。
昨日もずっと尾けられてたし。
今朝は疲れて爆睡してると思ったンだケドナー。」


とっくにバレてたみたいだし、もうコソコソする必要はない。

由仁と日向は、普通の声で話し始めた。


「え?
尾けられてたンスか?
あのオッサンに?」


「うん。」


「蝉の抜け殻を探してる時、オッサンは私たちを探してて、イタチを追っかけてる時、オッサンは私たちを追っかけてたってコトっスか?」


「うん。」


「…ウケる。」


由仁と日向は、仲良く同時に吹き出した。

って、いやいや。

君ら、笑ってる場合じゃなくね?
コレ、閉じ込められたンじゃね?

落ち着きすぎだよ。


「…
ヒナ、コワくないの?
監禁されちゃったよ?」


真顔に戻った由仁が、クスクス笑い続ける日向に訊ねた。

そーそー。

やっとまともな反応だ。