(…
ナニ? このオッサン…)


少し離れた場所で大人しく様子を見ていた日向は、訝しげに眉をひそめた。

孝司郎の態度はオカシイ。

特に、由仁に対する態度が。

反発?
敵愾心?

いや、違う。
ソレは… 恐怖?

日向は、昨夜初めて由仁を見た時の、ゾンビ化した孝司郎を知らない。

だが、今日のこの一場面を切り取っただけでも、孝司郎の反応は充分異常だった。

由仁と接して、程度の差はあれ赤面するヤツは大勢見てきたが、こんなに顔色を悪くするヤツは初めてだ。

生唾を何度も飲み込んで震える身体を宥め、孝司郎はなんとか声を張り上げるが…


「だだ黙れ!
ナニもナイと言って」


「あなた!
やめて下さい!!」


ハイ、階段を下りてきた瑠璃子に叱られたー。


「お客様なンですよ!
しかも先生方は、妙な呪いをなんとかするためにコチラからお招きした、大切なお客様です!
お帰りになってしまわれたら、どうするおつもり?!
いい加減にして下さらないと、私にも考えがありますよ!」




『考え』って、離婚デスヨネ。
ワカリマス。