「なら、ちょっと勉強しちゃおっかナー、俺。
ガッコ戻って教科書取ってくるから、ココで待っててくれるー?」


指でバイクのキーを回しながら、由仁が立ち上がる。

ってアンタ、教科書、学校に置きっパなの?
ひょっとして、試験期間中もずっと?
そりゃ、ちったぁ勉強したほうがイイよ。


「ハイ、待ってます。」


やっぱり余裕で、日向はヒラヒラ手を振った。

だが、店を出る由仁を見送り、樹と百合に視線を移すと…


「ナ… ナンスカ???」


ギョっとして顔を引きつらせた。

樹が目をギラギラさせて不気味に笑っていたから。
百合がカワイソーなコを見るような目をしていたから。


「日向…
イイの? あんな約束して…
黒ビキニよ? しかも紐よ?」


両手を揉み絞った百合が悩ましげに問いかける。

いやいや…
そんな心配そうな顔しないでよ。


「万が一にも、ナイっスよ。
先輩が一番とか… でショ?」


ほんの少し不安を滲ませて。
それでも余裕を掻き集めて。

日向は百合に微笑みかけた。