長い足を広げてチェアに逆向きで座った由仁が、少女にソファーを勧めた。

そして、背もたれに両腕を置いてその上に顎を乗せ、素直に腰を下ろした少女を真正面からジっと見つめる。

熱が潜む、絡みつくような凝視。

だが少女は、獲物を見つけたケダモノの視線を冷めた目で跳ね返し、落ち着いた様子で小さな唇を開いた。


「私、一年五組の木崎ひな」


「知ってるよ、ヒナ。」


(嘘をつけ。)


妖しく目を細めて自己紹介を遮った由仁を見て、少女…日向は眉をひそめた。

知るワケねーだろ。
てか、明らかに一文字足りてねーだろ。

だが、そんなコトは別にどーだってイイ。

ペガサスの視界に入りたくて、ノコノコやってきたワケではナイのだ。

彼女には急務がある。


「先輩。
『コックリさん』で、本当に取り憑かれるコトなんてあるンでしょうか?」


「え。」


真剣な表情で身を乗り出す日向の口から飛び出した思いがけない言葉を聞いて、由仁の瞳が別の意味で輝いた。

ナニソレ、詳しく。
そーゆーの、大好物だから。