だがソレが、需要の有無などおかまいナシの、彼のスタンスなのだろう。
真実を告げずに優しい嘘を生涯守り通すという決断を下したコトも、彼なりの男の信条なのだろう。
それは決して褒められたモノではない。
嘘は嘘。
誰かを騙しているコトに違いはないのだから。
けれど。
それでも。
彼という男を…
「…
カッコイイと思いますよ。」
真っ直ぐに由仁を見上げて、日向は小さく呟いた。
「平和主義とか、そうじゃないとか、そーゆーコトじゃなく。
先輩はカッコイイと思います。
…
あ、やっぱ嘘デス。」
ハイ、突然の方向転換。
日向は顔を引きつらせて後退った。
だって…
驚きにまんまるくなっていた由仁の目が、妖しく弧を描いて。
口元が綻んで。
チラリと顔を出した赤い舌が、掠めるように上唇を舐めて…
って、ナニソレ、エロい?!
コレは…
しくじったか?
イヤな予感がする。
むしろイヤな予感しかしない。
(…よし、逃げよう。)