あぁ、罵りたい。
こんな自分勝手なヤツ、コテンパンにしてやりたい。

だが、出来ない。
武士モードに規制かかってマスカラネ?!

日向は隣に立つ由仁をチラリと見上げた。


(どーする気なンだろ…)


Aくんの心底くだらない言い訳を聞いても、由仁の顔色は変わらない。

ココは穏便に『説得→改心』に持ち込むつもりなのだろうか。

まぁ、いいケド。
ほんとは色々言ってやりたいケド。

ソレで丸く収まるなら…

Aくんに睨まれながら。
日向に見つめられながら。

由仁の妖艶な唇が動く…


「Aくんって、弱い上につまんない男だヨネー。」








あれぇぇぇぇぇ??!!

罵っちゃったぁぁぁぁぁ?!

説得ターンじゃねェよ。
完全なる罵倒ターンだよ。

丸く収める気なんて、これっぽっちも感じられねぇぇぇぇぇ!!


「期待、期待って…
君、期待されてるから柔道やってンの?
期待されてるから生きてンの?
他人の期待がナイと、なーんにも出来ないのー?」