あらら。
随分と失礼な言い草デスネ。

由仁に助け起こされた日向の瞳が、Aくんの言葉で再び物騒な光を放つ。

戦闘形態武士モード再起動!


「ちょ、アンタねムグっ」


ハイ、武士モード強制解除。

日向の口を大きな手で塞いだ由仁が、Aくんに穏やかに問い掛ける。


「君、ソレさっきも言ってたよネ。
ナニがわかんないってー?」


「期待の重みが、だよ。」


上半身を起こして床に胡座をかいたAくんが、忌々しげに由仁を睨みつけた。


「俺は一年なのに…
次の大会の団体戦のメンバーに選ばれたンだ。
部の期待を背負ってンだ。
なのに捻挫なんかしちまって…
そりゃもう治ったケド、やっぱ練習は不充分だし…

期待されてンのに、出たくねェなんて言えねェし!
負けるワケにはいかねェし!

悪ィコトしたのはわかってる!
でも、他に手はねェだろ?!
期待を裏切るワケにはいかねェだろ?!」


(腐ってやがる…)


ク●トワか。

ナルシズム満載の身勝手理論を垂れ流す巨●兵…ではなくAくんを見て、口を塞がれたままの日向は目一杯顔を顰めた。