由仁がAくんに投げかけた言葉は、随分意地悪だ。

彼は部長とは違って、唯一被害を被っている人物なのだから。

…呪いが本物であるならば。

案の定Aくんは…


「え… いや… 俺は…」


歯切れ悪く、口の中でボソボソ呟いた。

なんだか気の毒デスネ。
ソーデスネ。

だが由仁は追及の手を緩めない。

『答えてちょーだい☆』
とばかりに、俯くAくんの顔を覗き込んで…


「久我、もうやめてくれ。」


硬い声でAくんに助け船を出したのは、眉根を寄せた部長だった。


「今まで伏せていたが、部員たちに全部話す。
その上で欠場したいヤツがいるなら、その希望を受け入れる。
だが俺は、ついて来てくれるヤツらを率いて大会に出る。

先輩だって…
俺が知ってる現役時代のヨコタ先輩なら、きっと同じコトをするはずだ。」


苦痛に顔を歪ませながら。
途中、言葉を詰まらせながら。

それでも部長は決然と言い切った。

隣に立つ副部長も、力強く頷いている。

サスガ体育会系。

熱いネ。
青春だネー。