「大丈夫。
ほんとに元気だから。」


身体の向きを変えた日向は、真正面からタニグチくんを見上げて口を開いた。


「困ってるコトなんてナイし、人間関係もソコソコ順調よ。」


そう、特に困ってはいない。
画鋲ごときで悩むほどヤワじゃない。

誰かに助けを求めるほどのコトなんて、ナニもない…


「…そう?」


日向の冷静な瞳を見下ろしたタニグチくんは、眉をハの字に下げた。

その表情は、どこか寂しそうにも見える。


「ならいいケド。
…ね、木崎さん。」


「ん?」


「ナニカあったら、いつでも相談してね?
俺、力になるから。」


「…ありがとう。」


日向がふわりと微笑むと、ナゼか狼狽えたタニグチくんが
『いやっ他意はナイよ?! クラス委員としてネ?!』
とかなんとかホザきだす。

ほんと、なんてイイヒト。

でもね?

本当に日向を悩ませているモノは、イヤガラセでも人間関係でもなかったりして…