嗤うケダモノ


「…なんだい。」


首を傾げて顔を覗き込んでくる由仁を見つめ返し、杏子は掠れた声を絞り出した。

避けられない瞬間が来てしまったようだ。

由仁の唇がゆっくりと開く…


「空狐の条件って、なんだったの?」


「‥‥‥‥‥ん? ソコ?」


呆気にとられてマヌケ面を晒す杏子とは対照的に、由仁の表情は真剣だ。


「まさか…
残りの寿命の半分、とか?」




ソレ、ナンテ死神の目?


「そんな無茶な条件は出しとらんわっ!」


「じゃあ、ナニ?」


慌てて声を上げた空狐を、唇を尖らせた由仁がジロリと睨んだ。

こーゆーのって、大概ベビーな要求されるモンだろ。
死後の魂とかさ。

大問題だろ。

だが、杏子は軽く肩を竦めたダケ。
空狐に至ってはニヘラと笑った挙げ句、鼻の下まで伸ばしちゃって…


「由美●おるの入浴シーンの再現を頼んだンじゃ。」