だから、吼えちゃった。


「関係ねーだろ、ほっとけや!
服も化粧も、全部自分のためなンだよ!
男の目なんて、いちいち気にしてられっか!!」


ナニコレ?!
可愛くねぇぇぇぇぇ!!

『仰せの通りデス
気をつけマス
助けてくれてアリガトウ』

コレが正解だ─────!!

心から可愛くねぇぇぇぇぇ!!

なのに、男は…


「‥‥‥へぇ?」


興味深そうに目を瞬かせた後、また笑った。


「黒い涙の跡つけてるクセして 強がっちゃうンだ?

可愛いね。」


ド───コ───が───??!!

色々流れた黒い顔で悪態吐く女の、いったいドコが可愛いの?!

慰めなんて、いらないから。
いっそ、ひと思いにトドメを刺して…

自己嫌悪で朽ち果てそうな私の望みを、男は叶えた。


「じゃあ、等身大の君のための君になれば?
無理なんてしないで、さ。」


筋ばった大きな手で、黒い頬に触れて。
カラーリングでパサパサになった髪に触れて。