嗤うケダモノ


「なんじゃ! この扱いは!
無礼モンが!」


「無礼で結構!
アンタ、サジ投げてないでなんとかしなさいよ!
あの白い獣、九尾の狐なンでショ?!
アンタがボスなンでショ?!」


「ぁぅ? ぁゎ? ぉぅ?
いや、儂ゃボスと言うか…」


私が強い口調で捲し立てると、空狐はオロオロと身体を揺らした。

おや?
見た目と違わず、カワイージーチャンなのね。


「アヤツはちと変わったヤツでの。
儂の言うことなど聞かんのじゃ…
あっ 怒るでないっ!
なんとかするからっっ!!」




ゴメン。
そんなにコワい顔しちゃった?

青ざめて震える空狐を放した私は、彼の前に赤ちゃんを差し出した。
そしてキチンと正座をし、床に手を着いて深々と頭を垂れる。


「お願い致します、大神狐様。
どうぞこの子をお助け下さいませ。」


「ふむ。
一つ条件があるがの。」


なんでも聞いてやろうじゃないの。

この子が助かるなら。

初めて抱いた、小さなぬくもりを守ることが出来るなら。