「わぉ、すっごい晴れてんじゃん」
今日は待ちに待った高校の入学式。
あたしがこれから通うことになる南黒高校は、あたしの頭でギリギリ入れるくらいのごく普通の公立高校。
昨日の天気予報では、今日の朝は大雨になると言っていた。
だけど、起きて外を見たら雲一つない晴天だったのだ。
「せっかく新しいカサ使えると思ってたのに」
あたしは、中学を卒業した時に壊れているからといって、お母さんに買ってもらったカサが早く使いたくてたまらなかった。
まぁ、入学式早々雨が降られても困るのですが...。
「美奈都、早く起きなさーい!」
下の階からお母さんの小高い声があたしの部屋に響く。
「はぁーい!今起きたよー」
これが毎朝のお母さんとあたしの会話。
お父さんは朝早くから遅くまで仕事をしているので会わない日が多い。
あたしは、ハンガーに引っかかっている真新しい制服に、腕を通した。