それからの数日。


私と社長が会話することは特になかった。


冷たく命令されていた方が、まだマシだった。


無視ほど悲しいものはない。


気が滅入りそうだった私は、休日自転車を走らせた。


行き先は、以前朝日さんに出会ったあの川岸だ。


ひたすら猛スピードで自転車を漕ぐ。


こんなことするから、ますます足が筋肉質になってしまう。

 
でも、これくらいしないと気分が晴れそうにない。


信号が赤になったので、ブレーキをかけて停まる。


店舗のガラスに映る自分の姿にぎょっとする。


うわー、自転車に乗ってる私ってまるで男の子だ。


ありささんがうらやましい。


あんなふうに生まれたかったなあ。


そんなことを考えていたら、いつの間に川沿いを走っていて、あっという間に公園に到着した。


坂道を下り、自転車を停める。


腰掛けようかとベンチへ向かうと、そこに座る男性がひとり。


あ、先客か。


仕方がない、他を探そう。


そう思った直後、見覚えのあるその後ろ姿に目を見開いた。