My sweet lover





「由梨、こっちこっち」


「待って、夏樹さん」


まだ少し肌寒いけど、陽射しがあたたかくなって来た3月。


私と夏樹さんは、イタリアの旅最後の街に来ていた。


私達は先々週日本を出発し、ローマ経由でバーリに入り、アルベロベッロ、マテーラ、アマルフィ海岸、シチリア島、カプリ島と、夏樹さんが学生の頃に歩いた街を回った。


少し強行スケジュールではあったけど、私も夏樹さんもずっと元気に動き回った。


だけど楽しかったこの旅も、今日一日を残すのみとなってしまった。


「いよいよ4月からは東京だな」


サンタ・ルチア港の海を眺めていたら、夏樹さんがボソッと呟いた。


私と夏樹さんの披露宴は、夏樹さんの社長就任発表と同時に行われ、関係各社の沢山の方が出席され、盛大に行われた。


「それにしても、あの披露宴はマジで疲れたよなあ」


「ホントそうだね」


「二人で海外挙式だったら、どれだけラクだったか」


「しょうがないよ。夏樹さん、久遠グループの代表になっちゃったんだから」


11月に大阪から戻れたものの、披露宴準備に時間がかかってしまい、やっと式を挙げられたのが3月上旬。


披露宴が終わるとその足で、私達はイタリアへ旅行に来たというわけだ。


この旅が終わると、4月から東京に新居を構え、東京本社での勤務が始まることになっている。