My sweet lover

「リリーはさ、母親を亡くして寂しがってた俺を不憫に思ったおやじが、買って来てくれた犬なんだ。

でも俺、犬も猫も嫌いだし、ハッキリ言って迷惑だったんだ。

だから、リリーが近づいて来ても無視してたし、よくいじめてたんだ。

あ、虐待とかじゃねぇぞ。

物持って来させたりとか、ちょっとひどいこと言ってみたりとか」


ひ、ひどいな社長。


リリーちゃんに同情してしまう。


「だけどリリーは、俺がどんなに冷たい態度をしても、いつも俺のそばに居てくれて、可愛い目で俺のことを見上げるんだ。

だんだんそれが可愛くなって来て…。

気がつけば、一番の親友になってた」


懐かしそうに目を細める社長は、優しい雰囲気を漂わせている。


「リリーは俺にだけ従順で、俺の事は絶対裏切らなかった。

だからリリーが死んだ時は、母親が死んだ時みたいにつらかったよ」


そう言って社長が、テレビの横に置いてあるリリーちゃんの写真に目をやる。


なんだか少し寂しそうだ。


「お前の従順さは、リリーに似たところがあるよ」


「うっ、だから夏樹さんは私の頭を撫でたり、“よし、いい子だ”とか言うんですね」


「ホントだな。

無意識にやってたよ」


なるほど。


そういうことだったんだ。


私はリリーちゃんと扱いが同等だったんだわ。


なんか、嬉しいような。


いや、どっちかと言うと複雑な気分だな…。