「なぁ、花音…」



俺が名前を呼ぶと、〝どうしたの?〟とでもいうように、

首をちょっとだけ傾げる。





「俺さ、もしもの話ってあんま好きじゃないんだ。
だって、〝もしも〟って、今ある現実から逃げてるってことだろ?

だから…あんま好きじゃないんだけど…」



俺の言葉が理解できないようで。


花音は難しい顔をして、頭にはハテナを浮かべてる。




「でもこれだけは聞いてほしい。

もしも、花音に辛いことあって、声がでなくなっても、ノートがある。
それに、お前の想いは俺にはちゃんと届いてるから…。

花音は、1人じゃないから。

俺がいるから」



それだけは、ずっと覚えおいてほしい。