そしてやって来たのは、少し古びた扉の前。
俺はいつものように、力をいれてそのドアを開けた。
───ガラッ。
もうすでに中にいた花音は、こちらを向いて俺に気づいた。
「ごめん!遅くなった!」
図書室に行ってたため、いつもより遅れてしまった。
でも花音は、首をふるふるとふって幸せそうに微笑む。
そして手の中にあるノートを開き、ピアノの鍵盤蓋の上で何かを書き始めた。
〔毎日来てくれてありがとう〕
そんな文字が書かれたノートを俺に見せる。
当たり前のように花音の手の中にあるノートを見て、俺まで嬉しくなった。


