テスト期間ということもあり、図書室は人が多くて少し視線を感じる。
全く…涼太が騒ぐから。
「うわっ、ごめん。
でも、いきなり優が図書室に行く!なんて言い出すから…。
めずらしくテスト勉強すんのか!?って思ったら本なんて読み始めるし…」
涼太はそう言いながら、俺が読んでる本を見つめた。
小さい文字で、難しい漢字が多いこの本。
そのくせ、すっげー分厚くて。
でも、この本を手に取ったのには訳がある。
『心因性失声症』
俺が見てるページには、その文字が書かれていた。
──突然声が出にくくなったり、発声ができなくなる状態。
心因的なことが影響する。
悩みや苦しみ、ストレスなど、身体症状に転換することで発症する。