【完】君ノート





─────────……。




「あっ。……噂をしていたら、来ましたよ?」



鈴音ちゃんのお母さんは、にこやかな笑みでそう言うと、真っすぐと指さした。




「あっ!!お姉ちゃん!!」




俺の横にいた鈴音ちゃんは、俺から離れて、前を向いて走って行く。



俺は鈴音ちゃんの行く先を、目で追った。





公園にいた子供たちも、その女性のもとへと集まってくる。






「お姉ちゃん!!お歌歌ってー!!」



「お姉ちゃん!今日はどんな歌ー!?」




…………。



目の前の光景を、どこかで見たことがあるような気がした。





自然が豊かで……


春の花……。


チューリップやすずらんに包まれている。



そんな場所で、



たくさんの子供に囲まれている……



1人の女性……。




「………………」





…………深く目を閉じて。




浮かんできたのは、俺たちの未来予想図。