いったん落ち着くと、花音のお父さんは俺に言った。



「ありがとう。優くん。
君のおかげで、大切なことを思い出した」



その言葉を聞けて良かった。




そして俺は、今日は帰ることにした。


親戚の人たちも、もうすぐ来るらしい。


もうすぐ、おばあさんとの別れの時がくる。



花音は、ちゃんと死に向き合わなければいけない。





「いえ……。
すいません。力になれなくて。

でも、俺は信じてます。花音は乗り越えられると」




君は一度、辛い過去から乗り越えられただろ?


ちゃんとお父さんと向き合って、幸せを掴んだじゃないか。



今度も大丈夫。




花音のそばにはもう、みんながいる。








「また……来てくれるかい?」






「明日も来ます。
ちゃんと、花音に会いに来ます。

約束したんです。昔、花音と」