───ガラッ。
部屋の隅に、小さくうずくまる花音がいた。
「花音!」
俺はすぐに駆け寄り、花音の肩にふれる。
「花音……。ごめんな。
1人で、怖かっただろ……?ごめんな……」
俺が声をかけても、花音は何も言わなかった。
「…………?」
変に思い、花音の顔を覗き込む。
泣きはらした跡。
目の周りは真っ赤。
悲しい想いが涙として、ここに跡を残していた。
だけど…。
悲しいという感情すら分からないほど、
いつもの輝いてるキレイな瞳ではなかった。
「花音……?」
名前を呼んでも、届いているのか分からない。
今、なにを見ている?
その瞳には、なにが映ってる?
その暗闇の瞳には、絶望しかないのか?
……花音は、心のない人形みたいだった。


