「花音!」 誰かに名前を呼ばれて振り返った。 お母さんも、お父さんも、私ののことを花音って呼んでくれたよね。 私、この名前で呼ばれてすごく幸せ。 風の音がする。 風が運ぶ……優しくて、幸せな音。 私の名前…。 愛の音……。 それは風が運んでくれた、小さな幸せ。 私はゆっくりと振り返った。 「優くん」 そこには、大好きな大好きな君がいた。