【完】君ノート





私の体を離すと、ジッと私を見つめる優くん。


「過去は過去で、花音を縛っているのは過去じゃない。
お前自身だ。

向き合え。ちゃんと……」



……過去は…過去?


私は、ずっと過去に苦しめられてきた……。

声がでない悲しみ。

辛さ。

さみしさ。


全部違ったの?



「お父さんは自分から花音に会いに来るんだろ?
それは花音に、伝えたいことがあるからなんじゃねぇの?」



またお父さんは、私になにかを言うの?

冷たい言葉を言うの?



「怖い……」


そうポツリとつぶやいた。



「怖くない!」


優くんは私の言葉を否定する。

私は優くんの真っすぐな目に吸い込まれそうになった。