【完】君ノート





「そんなもしもの話すんなよ。
いなくなるなんて、許さない。
俺、優しくねーから!」




いなくなることを許さないって、

笑いながら言った君は、言葉とは反対に、すごく優しかった。




本当は、その言葉を言ってもらいたかっただけなのかもしれない。



優くんに必要とされる……

その安心が欲しかっただけなのかもしれない。






「俺らの出会いって、なんなんだろーな?

すげーよな。
花音のピアノの音が、俺をここに導いてくれた。

これって、奇跡だろ?
俺はその奇跡を大切にしたい」




まだしゃがみこんでる私に、手を差しのべてくれた優くん。



私は、その手を取ってもいいんですか?





「一期一会だろ!

生涯にただ一度の出会い。
花音に会えて、花音を好きになって。
俺は今、すげー幸せ」




私が手を取ることをためらっていると、

先に優くんは私の手を掴んだ。




そしてグイッとひっぱって、私を引き寄せる。