【完】君ノート






振り返って見ると…



やっぱり。

女の子は来てくれた。




「………」




でも、女の子は教室に入らず驚いた目で俺を見てきた。



そして目を泳がせ、困った表情をする。





「あっ!待って!逃げないで!」




昨日みたいに話せないのは嫌だから、


俺はそう言っていた。




すると彼女は、逃げずにちゃんと俺と向き合ってくれた。




「昨日はごめん。俺、よく分かってなくて…」




俺は手にあるノート開く。




「喋れないなら…。

このノートで俺と話してくれませんか?」



うわ…。


なんで俺、ここで敬語なんだよ。




心の中でつっこみをいれていたが、女の子は俺が見せた白紙のノートを目を丸くして見ている。



パッチリと大きな目に少しだけ涙が浮かんだ。