『俺は、花音のピアノが聴きたかったから…
花音と話したかったから…花音に会いに行ってたんだよ!』
不器用な君の優しさに触れて、幸せだった。
『なぁ花音。信じて?』
そう言われたとき、信じようって決めていたのに……。
どうして忘れていたんだろう。
『花音がいつか俺に話せるようになるの、待ってるから』
優くんは、私にいつか声が戻るって、信じてくれていたのに。
『お前の想いは俺にはちゃんと届いてるから…。
花音は、1人じゃないから。
俺がいるから』
私は……1人じゃないから。
優くんがいたから……。
『花音。声を出すことを諦めるな』
もう一度、声を出して……君と話したい。
そう思った。


