「ふーん…」 俺は頬杖をつきながら前を向いた。 黒板にすらすらと先生が変な数式書いてるけど、分かるわけなくて。 先生には悪いけど、俺はノートなんてとらない。 どうせバカですから。 真っ白なノートを、ぱらぱらと1枚ずつめくっていく。 考えてるのは、あの女の子のこと。 …声が出ないって。 想いが……、言葉が伝わらないって…。 どんな気持ちなんだろう? あんなに楽しそうにピアノを弾いていたけど… きっと寂しいよな?