「聞いてくれる?
私が、三浦を好きになったときのこと」
さくら先輩の言葉に、ゆっくりとうなずいた。
私で良ければ聞きたかった。
話してくれる人の、話を。
───────────。
先輩の話は……すごく素敵だった。
私の知らない優くんを、一瞬で教えてくれた。
さくら先輩は、中学の頃、好きな人もおらず、
今の明るい性格とは反対に、すごくおとなしい性格だったらしい。
数少ない友達と、普通に静かに過ごしていた毎日。
そんなある日。
……友達の好きな人に、告白された。
その人のことを好きでなかったさくら先輩は、告白を断った。
そして、友達には恨まれ、裏切られ、ひとりぼっちになった。
それが悲しくて…辛くて…さみしかった…。
「あの日、放課後の教室で泣いていたときのことなんだけどね?」
そう言った先輩は、悲しいことのはずなのに笑っていた。
私は知ってる。
ひとりぼっちのさみしさを。
だから、あの日の先輩のもとへ、私が行けたらなって思ってしまう。
私が、声をかけられたらなって。
でも、そんな必要はなかった。
先輩は笑って言ったの。


