「もう分かった。もう十分」 そう言ってしまった。 花音は、切なそうに、少し首をかしげる。 俺が君の想いを聞かなかったからか? だからそんな悲しい表情をするのか? ごめんな。 お前の気持ちを、聞けない、弱い俺で…ごめん。 もう、君を困らせない。 「なぁ、花音。ピアノ弾いて?」 うつむきながら、そう言った。