【完】君ノート





──ガラッ。


古びたドアの開く音。


静かな空き教室に響く。




いつもいなかった君が、やっとそこにいた。





「花音……」



俺の声が響いたと同時に、驚いた顔をする花音。


まるで、〝なんで?〟って顔してる。

おそらく、俺が今日は実行委員に行ってるとでも思ってたんだろう。





「花音に、会いに来た」




俺がそう言うと、花音は困った表情を見せる。


なんでそんな顔をする?



「俺、お前になんかした?」



俺が花音に質問したとき、彼女はいつもノートを手にした。


だけど、

目の前にいる花音は、うつむいて何もしなかった。