「ねぇ、もっかいピアノ聴かせてくんない?」 風は俺の言葉を彼女に届けた。 「………」 ポカーンとした顔で俺を見てくる目の前の女の子。 「聴きたいんだ。君のピアノ。だめかな?」 ちょっと馴れ馴れしくしすぎた? 迷惑だったかも。 そんな心配をしていると、女の子は少しうつむき頬を赤くして首を横に振った。 「いいの?」 そう聞くと、ゆっくりと頷いた。 「ありがとう」 この言葉は、ちゃんと彼女に届いてる。