【完】君ノート





窓辺に身を任せ、立ちながら電車に揺られていた。


そのときも、ずっと優くんは手を繋いていてくれた。




透明なガラスの向こうでは、景色だけが変わっていく。





…おばあちゃん。


無事でいて。





そう願わずにはいられなかった。






「花音、あっち席あいてる…」




そんな声が聞こえたけど、私は窓越しに映る優くんに、首をふるふるとふった。




なんでか、外を見ていないと落ち着かなくて…。



そんな不安を見透かしたかのように




「俺がいるから」



優くんはそう言って手をギュッと握ってくれた。


優しく守ってくれるように…。



私の手を握ってくれた。