「…あ。もうこんな時間か…」
チャイムが廊下に響き渡ると、俺は名残惜しい気持ちでそうつぶやいた。
明日から夏休み。
花音とちょっと間、話せなくなる。
しかも俺はテストの結果も散々だったから、夏期講習とか行かないといけない。
あーあ。
せっかく好きって気づいたのに。
〔帰る時間になっちゃったね〕
花音も少しだけ寂しそうな顔をしてくれた。
…花音ともっと話したいんだけどな。
ん?
待てよ?
そうだ!!
「花音!!ちょっとノート貸して!」
帰りの準備をし始めた花音に、俺はそう言った。
このテンションの上がりように驚いたのか、キョトンとした顔で俺にノートを差し出した。