『そんなに慌てなくても大丈夫なのに』 お母さんは梨乃の背中をリズムよくポンポンと叩きながら、静かに笑う。 『だってー』 プクッと頬を膨らませた私は、そのまま言葉を繋いだ。 『陽乃は梨乃のお姉ちゃんなんだよ?早く陽乃がお世話するの!』 『ふふっ、それは頼もしいわね。すっかりお姉ちゃんらしくなっちゃって』 『うん!梨乃のことは陽乃に任せて!』 早く梨乃のお世話をしたくて、私はイスからぴょんと飛び降り、 『りーの!』 そう言って精一杯、手を伸ばした。