だってこのアルバムを開けば、きっともう戻れなくなる。
お母さんが亡くなってから、お父さんは私たちふたりを養うために朝も昼も夜も必死に働いてくれた。
そして負け惜しみない愛を、私たちに注いでくれた。
梨乃だって……あの小さな体で、幼い心で。
ずっとお母さんのいない寂しさに耐えて、ここまで頑張ってきた。
そんな、3人で一生懸命作り上げてきた関係が、努力が。
このアルバムを開くことによって、崩れてしまうかもしれない。
そう思うと、怖くて怖くて仕方ない。
何より、この中身を見たときに、私はどうすればいいのだろう。
また、お母さんが亡くなった時のような孤独に囚われてしまうの?
せっかく笑えるようになったのに、笑えなくなっちゃうの?
………やっぱり、私は弱虫だね。
過去にばっかり囚われて、未来が全く見えなくて。
進むべき道が、分からないよ。
みんなが普通に思い描く“明日”が、私にはないから。
私はアルバムを開くことなく、もとの位置へと戻した。
あの夢も、このアルバムも。
見なかったふりをするように、私はグッと目をつむって全ての事実に背を向けた。



