学校を終えた私は全力で走って駅へ行き、家に向かって帰り道を急ぐ。
「……っ、はぁ……、よかった……」
玄関に飛び込むようにしてドアを勢いよく開けると、私はすぐに足下を確認した。
梨乃はまだ帰ってきていないみたいだ。
……とりあえずは、安心かな。
私は玄関でローファーを脱ぐと、膝に手をついて肩で息をする。
呼吸がだいぶ落ちついてきた頃、私の心臓は違う意味でドキドキと鳴っていた。
疲れたとかきついとかいう方のドキドキじゃなくて、緊張のほうのドキドキ。
「……よし」
弱虫な自分にかつを入れると、私は2階に向かってゆっくりと足を進めた。
ドクン、ドクン。
目的の場所に近づくたび、私の中で不安と緊張が入り混じって、手に汗が滲んでくる。
「……ここだ」
ドアの前に立った私は何回か大きく深呼吸をすると、意を決してそっとドアノブに手をかけた。



