それから数ヶ月。


時が過ぎるのは本当に早くて、月日はもう10月を迎えていた。


「ね、優ちゃん?」

「……ん?」

「あー!ちょっとー!私の話、聞いてなかったでしょ?」

「あー……ごめん」

「もう!優ちゃんのばぁーか!」


隣で頬をぷくっと膨らませて、俺を見上げてくる百合。


本当、美人だよな。


小さな頃からずっと一緒にいるけど、いつ見ても変わらずそう思う。


周りから羨まれるくらいに全てが完璧なくせに、全然気どってなくて。


普段は大人びていて冷静なくせに、少し冗談を言えば子供のように無邪気にはしゃいで。


百合はいつも、“素”でいる。


ありのままの自分を表に出してる。


“美人は人から敬遠される”ってよく聞くけど、百合がみんなから距離を置かれないのはやっぱりその人柄なんだろうな。


「はいはい、俺が悪かったよ。だからほら、機嫌直せ!ジュース奢ってやるよ」


俺がそう言えば、百合はすごく嬉しそうに微笑んだ。


「優ちゃん、大好き!」


そして今度は真っ白な歯をちらっと覗かせて、恥ずかしそうにはにかむ。