だけど、俺は、


「…わりぃ。俺にとって渚は、可愛い後輩の一人だ」


「…は、ぃ」


「お前とは付き合えねぇ」


渚が小さく頷く。そして、今にも消えそうな声で言った。


「ありがとうございます…っ」

渚の目は瞬きをすれば涙が零れそうなほど潤んでいて。

それでも必死に笑っていた。


「今まで色々迷惑かけてすいませんでした。失礼します…っ」


「…っ」


渚はもう一度笑って、走って去って行った。


これで良かったはずなのに、俺は一瞬、去って行く腕をひっぱり、引き留めたくなった。


「どうしたんだ……俺は」


よくわからない感情に掻き回され、イライラする。