涼しい風が吹きわたる5月中旬。

1年生達は、もうすっかり慣れたことだろう。

きちんとした身なりで登校してくる。

大きな声で挨拶もする。

えらいなぁ。

感心するよ。

でも、私達はそんなことはもうしないけどね。


浅宮凛々羽は、やはり今日も小っさな声で挨拶をした。

「おい、浅宮。ちょっと来い。」

…また指導か。

いつもの如く無視をする。

「はぁ…、昼休み職員室な。」

「…はぁ~い。」

行かないケドね。

「り~りちゃん♪」と、いきなり飛び出した楽しげな友人の声。

声の主は、

「ん?なんだ~ういか。」

神津川 初。私の親友と呼べる人。

「今日も朝練?」

「そ。行かなきゃ怒られるからね。」

「ふーん、真面目だねぇ?」